免疫を整えたいときの手立ての一つがハーブです。質の良い食べものや飲みもの、充分な睡眠、心の安定など、健やかなライフスタイルをより豊かにするためにハーブを使うことができます。ハーブは絶対的に必要なものではありませんが、私たちが日々をどのように生きたいかによって自由に選ぶことができるものです。
免疫の調整に役立つハーブはたくさんあります。なかでも、風邪の予防やケアとして多くの人に好んで使われ、一般的に入手しやすいハーブをまとめました。
心とからだの様子に合わせて最もふさわしいハーブを暮らしのなかで楽しむこと。それが、風邪を予防する、あるいは風邪を上手に経過させる方法です。
バランスとつながりの調和
風邪の予防やケアに役立つハーブは色々あるけれど、どのように選んで使ったらよいのでしょうか。免疫系をサポートするハーブはその作用のよって大きく2つのグループに分けられます。免疫賦活剤と、免疫調整剤です。それぞれの特徴によって使い分けると効果的です。
ハーブの大きな特徴の一つが、「バランス」を整えることです。免疫を調整したい場合には、免疫力が低下しているときにそれを活性化させるハーブが風邪のケアに役立ちます。反対に、免疫の過剰反応を抑制するハーブはアレルギー症状に用いられます。
また、ハーブは「つながり」を取り戻します。強いストレスが免疫系の働きを弱めることはよく知られています。免疫系を整えるには神経系や内分泌系なども含め、自然治癒力の全体の調和を整えることが大切です。ハーブの出番は、それらのつながりと調和を助けたいときです。
一種類のハーブに多くの成分が含まれるがゆえに、このようなハーブの作用の相乗効果には計り知れないものがあります。さらに、一人一人の個性豊かな人体への影響は無限大です。このことは、一成分・一作用の薬学の世界から見たらとても不思議なことです。
免疫賦活剤
・エキナセア Echinacea purpurea
・ガーリック Allium sativa
免疫の主役である血液中の白血球を活性化する作用のあるハーブです。侵入した抗原(細菌、ウイルスなど)を包み込んで食べてしまうマクロファージを増加させます。また炎症が起きたとき、免疫伝達物質であるサイトカインの産生を促し、免疫の活性化作用に影響を与えます。
感染の初期段階に有効です。即時的な効果の反面、効果が短いため、ある一定の期間に限って摂取し続ける必要があります。
免疫調整剤
・エルダー(フラワー、ベリー) Sambucus nigra
・カレンデュラ Calendula officinalis
免疫力の低下には強壮剤となり、あるいは過剰な状態には抑制するなど、免疫全体のバランスを整えるように働くハーブです。抗体をつくるリンパ球であるB細胞への指令を出すヘルパーT細胞を調節します。
免疫賦活剤と比べて作用は遅く、効果が長いのが特徴です。内分泌系と神経系との調和を助け、広い範囲への効果を持つので長期的に摂取することでからだの全体性を整える作用のあるハーブです。
また、免疫調整剤はアドプトゲンでもあります。アダプトゲンとは、感情的・肉体的・精神的ストレスへの適応力を強めバランスをとることに役立つハーブです。
・リコリス Glycyrrhiza uralensis
・エゾウコギ Eleutherococcus senticosus
・チョウセンニンジン(高麗人参)Panax ginseng
(エゾウコギやチョウセンニンジンは漢方の生薬として入手できます)
また、食生活に馴染みのあるハーブとして、食物繊維も豊富なきのこ類には免疫を強化する働きが期待されます。
・マイタケ Grifola frondosa
・シイタケ Lentinula edodes
ハーブはイベントではなく、日常のなかに
ハーブは食生活に取り入れやすいナチュラルレメディです。ガーリック(にんにく)は手軽に料理に加えることができます。しかし強力なハーブなので摂り過ぎには注意です。エキナセアはシロップやチンキにして、風邪の前兆や初期症状に備えます。
温かいエルダーフラワーのブレンドティーは毎日飲んでも飽きない美味しさ。リンデンフラワーとのブレンドは最強。小さな子どもと一緒に飲むことのできるハーブティーです。