ジンジャー(ショウガ) 

ショウガは私たち東洋人にとって欠かせない食材の一つです。
いろいろな料理の薬味、カレーはもちろん、冬の鍋ものにも細かく刻んだショウガをたっぷり入れたくなります。

ショウガはスパイスとしての美味しさだけでなく、薬効のあるからだに良い食べ物として一年を通して役立つハーブです。

からだに疲れを感じた時や胃腸が弱っているとき、温かいジンジャーティーを飲むとエネルギーが戻ってくるのを感じます。おやつのように食べられる「ショウガの砂糖漬け」も、食生活のなかでショウガを摂る方法の一つです。

もくじ

大昔から世界中で珍重されているハーブ

食生活において身近なショウガですが、古くから世界各地で利用価値の高いハーブとして使われてきました。からだを温め、胃腸の働きを促し、痛みを和らげる薬用植物として知られています。

熱帯アジア原産のこのハーブは、ジャワ島では「ジャムウ」という古来から伝わる薬に加えられます。インドの伝統医学アーユルヴェーダでも、からだ全体のバランスを保つ「温」「熱」のハーブとして重宝されています。

約2000年前の中国の医書にも薬草としてすでに記されていたようです。東洋医学において、中国の医師たちはショウガを「上薬」としていました。上薬とは、毒性が無く長期的に摂取することで不老長寿に役立つ食材に近しい薬です。日本には弥生時代に渡来したと言われています。

古代西洋でも歴史は古く、風邪、便秘・下痢、月経痛などに利用されてきました。強壮作用があるため媚薬としても知られています。

ショウガの成分と作用

ピリっとする辛みのある味と香りの正体は、根っこの成分であるジンジャロールやショウガオールです。ジンジャロールは乾燥させることによってショウガオールに変化するため、ショウガの状態によって成分と作用が異なります。

生のままの状態のものは生姜(ショウキョウ)、乾燥させた状態のものは乾姜(カンキョウ)と呼ばれます。

生のフレッシュの状態ではジンジャロールが多く含まれ、胃腸に働きかけて消化の助けになります。
辛みを感じると排泄反射が起こり胃腸の働きが活発になります。排泄反射というのは刺激物を体外に出そうとするからだの自然な反応です。(他にも渋味、酸味、苦味に対しても同じ反応が起こります。)副交感神経が優位になり、血管が拡張し血液の流れがよくなります。そして免疫細胞であるリンパ球が増え、免疫系の活性化を促します。

乾燥させた状態ではショウガオールが多く含まれ、痛みの緩和に役立ちます。
最近の研究では、たとえばプロスタグランジンのような炎症反応に深く関わる生理活性物質の調節にショウガが有効であることが明らかになりました。乾燥した粉末は関節痛、筋肉痛などの鎮痛剤として用いられます。(*乾燥した根茎は妊娠中は使用しない)

ショウガは血流を促し、からだを温めるハーブの代表です。消化器系の疲労回復、風邪の症状や痛みの緩和に役立ちます。また代謝を高めるので、春先のデトックス(代謝を良くして解毒すること)の時期に活用することができます。

ジンジャー・ライフ

ショウガは、キッチンレメディとして必須のハーブです。

胃腸の調子を整えたいときや、疲労から風邪をひきそうな時は「しょうが湯」を飲みます。生のショウガをすりおろして、お湯を注ぐだけ。黒糖など甘みを入れると飲みやすいです。特に胃腸のケアの場合は葛(クズ)も加えるとなお良いです。

あるいは、ティーバッグのジンジャーティーがあれば手軽に飲むことができます。独特の香りも味わいながらゆっくりと飲むと、心もホッと落ち着きます。

他には、ショウガパウダーをスコーンに入れたり、夏にはおろしたての生のショウガにハチミツと炭酸水を合わせてジンジャーエールを作ったリ。
自家製ハーブシロップにも必ずショウガを入れます。

毎年、冬の季節になると「ショウガの砂糖漬け」を作ります。生のショウガをお砂糖で煮詰めたものです。

ちょっと小腹が空いた時のおやつや、お茶菓子にもぴったり。食後につまんだりもします。
お砂糖をたっぷりでも、ショウガはまだまだ辛みを感じさせます。けれどもこの辛みが意外とクセになる味。私は紅茶と一緒にいただくのが好きです。


ジュニア(小学生の息子)は料理の薬味としてはショウガをあまり好みませんが、「ショウガの砂糖漬け」の小さなカケラを差し出すと、クセになる味だと言いながら食べています。

先日久しぶりに会った友人にもおすそ分けしたら、とても喜んでくれました。

レシピ 「ショウガの砂糖漬け」

【材料】
・ショウガ 250g
・きび砂糖 125g
・きび砂糖(仕上げ用) 適量
・酢 大さじ1

【作り方】
1 ショウガを繊維に対して直角に薄切りにする。(2mm幅くらい)
2 お湯を沸かし、酢を入れて2、3分ほどゆがく。
3 ざるにあけて水を切り、ショウガを鍋に戻し入れ、きび砂糖と合わせて煮詰める。
4 水分がほぼなくなったら火を止めて、バットに並べて冷ます。
5 きび砂糖を1枚ずつまぶし、1日ほど乾燥させる。

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