聴くということ-バッチフラワーレメディ・コンサルテーションの意味

バッチフラワーレメディは、自己発見と自己ヒーリングのための道具です。

「バッチの花療法」とも呼ばれ、1930年代に英国人医師エドワード・バッチ博士の自然哲学に基づいて体系立てられました。その人の感情面に着目し、自然界の38種類の花のエネルギー的情報を用いて真の自己を生きるために心の不調和を整えていくものです。

ところで私は2006年頃に初めてバッチフラワーレメディに出会いました。もちろん自分自身のため、心の闇に希望の光を灯すためでした。学びを深めていくと同時にコンサルテーション(個人相談)のトレーニングを積み、2013年にイギリス本国のバッチ財団にプラクティショナー登録をしました。それから現在まで継続してバッチフラワーレメディを実践し、学び、講師活動やコンサルテーションを続けてきました。

先日、プラクティショナー活動の一環として都内での研修に参加しました。現在コンサルテーションは一時的にお休みしていますが、そろそろ再開しようと考えていたところ、タイミングよく研修が開催されることを知りました。レメディに関する国内外の動向の情報更新と、コンサルテーション実習を通して技術の向上をさせたいと思い、出席するに至りました。
今回の研修を通して、バッチフラワーレメディとは何か、私は何のためにプラクティショナー活動をするのか、改めて気づいたことを書きたいと思います。

もくじ

バッチ博士の遺志を継ぐ

英国バッチ財団に登録するプラクティショナーはイギリスをはじめとするヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアなどを中心に世界中にいます。プラクティショナーはその言葉の通り、常にレメディの実践者であると同時に、バッチ博士の意図した「真の自己の癒し」やレメディの「シンプルさ」や「純粋さ」を堅く守りながら、レメディを必要とする人々に伝えていくことを約束しています。

プラクティショナーは毎年秋に、CPD(専門的な知識と技術の継続学習)の提出と活動報告をしています。また英国バッチセンターから発行されるニュースレターにしっかり目を通し、レメディや活動について世界共通の認識を保つよう努めています。登録者専用のSNS(Facebook)グループがあるのですが、そこでは毎日のように国際色豊かな交流や情報交換がなされています。

今回都内で開催された研修の参加者は、プラクティショナーになりたての方も、すでに活動履歴のある方も含め全国から集まりました。12名全員が女性。プラクティショナーの活動は、コンサルテーションや講師活動が主です。ボディーワーカー、獣医師、自然療法講師として、あるいは週末に副業としてなど、活動スタイルは様々です。

お互いに自己紹介をして再確認できたことは、私たちプラクティショナーはバッチ博士の、

「Heal Thyself 汝(なんじ)自身を癒せ」

という哲学に心から共感し、大切にしているということです。

魂の求めるままに生きること
それが為されないと感情が乱れ病となって現れる
自分を癒すのは他の誰でもない自分自身である

バッチ博士が心の療法として体系立てていく中で遺した言葉の意味は、プラクティショナー自身にとってはもちろん、相談に来るクライアントの健やかさと幸福のために奉仕する姿勢として最も重要なことです。

心の声を傾聴する

逆に言えば、ほんとうの癒しは他者によって施されることではない、ということです。プラクティショナーがすることはクライアントの話をよく聴き、レメディの助けによって癒しの過程がご自身のペースで進んでいくことを見守ることです。

とはいえ、「聴く」ということはただ話を聴くだけではありません。クライアントが心の内を言葉にして話し、感情を解き放つことができるように信頼関係をつくること。また言葉ではない、非言語のコミュニケーションをはかること。ここにプラクティショナーの鍛錬の如何がかかっていると私は考えています。

コンサルテーションの場では、感情の状態に適切なレメディを一緒に選び、飲用ボトルを作成するということが一応のゴールではあります。プラクティショナーはクライアントに寄り添い、レメディの選定について助言をします。

けれどもレメディを飲用する以前に、クライアントが真の癒しを得るには、

「自分の言葉を自分で聴く」

必要があります。今の私はこのような心境なんだ、そのことについて私はそう感じているんだ、という言語化のプロセスこそ、心のモヤモヤから抜け出す一歩になります。時にはプラクティショナーとの対話の中で、気づき(癒し)が起こることもあります。

そのためにプラクティショナーはクライアントを純粋に映し出す鏡のように存在します。プラクティショナーはクライアントの感情に共感はしますが同情はせず、またクライアントの困り事に対して、自身の感情、思考、経験、想像などで相談にのるようなことは一切しないよう私は常に注意しています。

プラクティショナーがクライアントのあらゆるボディーランゲージを含めた相談内容に対して傾聴に徹することで、クライアントが心の声をご自身で聴くことができるのだと思うからです。どんなクライアントに対しても本心を映しだす鏡となれるよう、その人を知覚するフィルターをいかに透明にしていくか、これがプラクティショナーの課題だと改めて感じています。

対話によってシャドーを統合していく

バッチフラワーレメディは、花のエネルギーを含んだ水であるレメディの効果はもちろん、レメディを選ぶための「対話」であるコンサルテーションにも大きな意義があります。世界には多くの種類のフラワーエッセンスがあり、選ぶ方法も様々です(例えば、直感、キネシオロジーのような筋反射テスト、ダウジングなど)。それらとは違って、フラワーエッセンスの元祖であるバッチフラワーレメディのいいところの一つは、対話(自己との、他者との)によってレメディが選ばれるところだと私は強く感じています。

相手から何のジャッジメントもされず、偏った解釈をされるかもしれないという恐れを抱く心配もなく、感情という最も私的なことをストレートに話す。心の琴線に触れる対話が繰り広げられていく。それも、クライアントの心のシャドーを自分自身に統合していくプロセスの一部なのではないかと考えています。

プラクティショナーの役割とは、単なるレメディ選びのお手伝いに留まりません。プラクティショナーがクライアントの存在そのものを受け入れ、「聴く」ことが、癒しのプロセスの始まりではないかと思うのです。

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