春の兆しが感じれらる季節。
寒い冬が過ぎ、春の到来に嬉しくなる一方で、花粉アレルギーの民にとってはつらい時期になります。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ。それに伴う頭痛、からだのだるさ、集中力の低下。お天気はよくても、気分は滅入ってしまいますよね。
アレルギーとは、本来は無害なものを有害と見なしたときに起こる過剰な免疫反応です。
つまり花粉アレルギーとは、スギをはじめとする花粉を有害と認識し、それから身を守るための対応をしている状態といえます。
今日は身体的な側面からその背景を考えてみたいと思います。
アレルギーとは(花粉の場合)
私たちのからだの免疫には様々な働きがありますが、なかでもアレルギーは粘膜で働く防御システムです。
花粉アレルギーの症状であるくしゃみ、鼻水、鼻詰まりは、花粉という“異物”を体内に入れないように、吹き飛ばしたり、洗い流したりして、からだが自分を守ろうとしている反応です。
まずは花粉をキャッチして「敵が来た」と判断すると、IgEというタンパク質がつくられます。するとアレルギー反応を引き起こすヒスタミンをたっぷり含んだ肥満細胞にIgEタンパクがセットされます。そこへ再び花粉がやってくると、肥満細胞からヒスタミンが一気に放出され炎症が起きます。
花粉は植物が受粉するためのもので、本来は人体に害を与えるものではありません。ところが、アレルギー体質の人のからだは、花粉を「危険な敵」と認識してしまいます。そして全力で防御反応を起動させます。
防御システムが見当違いな方向に向けれらている状態。この誤認が花粉に対するアレルギーの反応です。
この反応が起こる背景として主に3つ考えられます。
背景1 幼少期の環境(衛生仮説)
免疫システムは、生まれたときから完成されているわけではありません。
幼少期に様々な物質と接触することで、「これは安全」「これは危険」と、免疫反応として少しずつ学習していきます。
ここで、興味深い研究があります。
1989年、イギリスの医師らはアレルギー発症の原因を調べるため、子どもの頃の生活環境との関係を調査しました。
その結果、アレルギー疾患の発症に最も影響した環境因子はなんと「兄弟の数」であった、とイギリス医師会雑誌『BMJ』に報告されました。
お兄さん、お姉さんの数が多い子どもほどアレルギーの発症が少なく、長男・長女は発症頻度が高かったのです。兄弟が多い家庭では、上の子が外から様々な細菌やウイルスを持ち帰り、下の子は自然とそれにさらされます。それに比べて、一人っ子や長子はその機会が少ない。
この研究から導かれたのが「衛生仮説」です。幼少期にある程度の細菌やウイルスと接触することで免疫が正しく発達し、アレルギーの発症が少なくなる。逆に、清潔すぎる環境で育つと免疫機能の経験が不足し、アレルギーを起こしやすい体質になってしまうということです。
また幼い頃に土や自然環境に触れる機会が少ないと、免疫が適切な区別を学べないまま成長してしまう可能性も示されています。
現代の衛生的すぎる環境や自然との断絶が、アレルギーの増加と無関係ではないのかもしれません。
背景2 大気汚染で花粉が強力なアレルゲンに
大気汚染が花粉アレルギーと関係が深く、症状を悪化させる可能性があるとも言われています。
花粉は自然の状態で飛散量の約2割が破裂してアレルゲンを放出しますが、排気ガスなどに含まれる硫酸化合物と結合すると約8割が破裂し、高濃度のアレルゲンとなって拡散されることが明らかになっているようです。
つまり花粉そのものだけでなく、空気中の汚れと合体した花粉がからだに入ることで、より激しいアレルギー反応を引き起こしていると考えられます。
背景3 腸内環境の乱れ
3つ目は内的な背景についてです。
近年の研究では腸内環境とアレルギーの深い関係が明らかになってきています。
腸には全身の免疫細胞の約7割が集中ています。食べ物を消化するだけでなく、免疫機能の中枢でもあります。
腸内には大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在しており、これらがバランス良く多様性に富む状態が免疫の正常な働きには重要です。
ところが、以下のような食生活は腸内環境のバランスを乱してしまい、免疫機能に悪影響をおよぼすと考えられます。
・高脂肪・高タンパクの食事
・暴飲暴食や不規則な食事
・過剰な食品添加物や加工食品の摂取
そして細胞内に毒素や老廃物が溜まった状態がアレルギー疾患の温床になり得ます。
また、腸はストレスによっても影響を受けます。慢性的なストレスによって自律神経が乱れ、腸の不調を引き起こします。
免疫を学び直す
免疫が「花粉は敵だ」と後天的に学習したのであれば、本来の正しい認識に学び直すことができるはずです。
幼い頃に学ぶことができなかったならば、これから学べび直せば良いと考えたいものです。
そのためにホリスティックなアプローチによってその可能性に希望を見出すことができるのではないでしょうか。
具体的には、腸内環境を整える、肝機能を高める、ストレスを軽減するなどです。
これに関してはまた別の記事に譲りたいと思います。
次は、感情や心の状態と花粉アレルギーの関係についてまとめます。
【参考文献・参考資料】
『花粉症は治る病気です:毒を以て毒を制す、アイゾパシー療法』 / 朴澤孝治 / CUE’S BOOKS
「花粉とアレルギーの関係」 / 未来工学研究所 https://www.mirai-kougaku.jp/eco/pages/150727.php
日本メディカルハーブ協会会報誌 VOL.54、VOL.55
