アロマセラピーとは、「心の庭」をつくること

心の庭とは、素の自分と出会う心のよりどころ。心の庭を手入れするにふさわしいのは、花や葉、樹木や果実などの自然界の植物の香りです。芳香のある植物の香りは生命力そのもの。私たちの心の奥深くに響きます。自らの心やからだに合う香りを選び、手入れをするということは、感情をなだめて心を整える振る舞い。アロマセラピーを実践することは、心の庭をいつも美しく保つための暮らし方です。 

もくじ

心の庭とは

心の庭とは、素の自分と出会う場所です。本来の自分自身を思い出すことのできる、もっとも居心地のよいホームプレイス。「安心だよ」「それでいいんだよ」「大丈夫だよ」。疲れたとき、落ち込んだとき、悲しいとき、苦しいとき、いつでもあたたかく包んでくれるやさしいお母さんの存在ような心のよりどころです。

心の庭では、自然な感情をゆるし、魂にとって大切な気づきを得ることができます。生きる希望を見失わないための言葉をいつでも手にすることができます。

充足した日々をおくるには、心の庭の手入れが大切です。幸せを感じる、創造性を発揮する、相手に微笑みかけるには、この心の庭を美しく満たしておくこと。庭が渇いているのなら、まずは潤してあげる必要があります。小さなストレスも大きな苦難も生きる喜びとして体験できるように、いつでも立ち戻ることのできる心の庭をつくっておくのです。

自然の香りは心に響く

心の庭の手入れにふさわしい方法の一つが、アロマセラピーです。アロマセラピーは、ハーブの芳香=精油(エッセンシャルオイル)を用いる、もっとも幸福な心の庭の手入れ法です。とりわけ、ローズ、ジャスミン、ラベンダー、カモミール、ネロリなどの花々の芳醇たる香りは、私たちをなんと幸せな気分にさせてくれることでしょう。ほんの一瞬、心地よい香りに触れるだけで我を忘れ、気持ちがだんだん穏やかになるのを感じます。

精油とは植物の芳香の本質(エッセンス)です。花、樹木、果実など様々な種類があり、その香りは私たちの心を穏やかに動かす力があります。香りは嗅覚によって中枢神経を刺激し、化学的反応を起こして感情に影響を与えます。また人間の見えないからだである振動領域(バイブレーション)に物理的に作用し、感情に変化をもたらします。

香りを心身の調和のために用いるというのは、植物(薬草)を使う療法の中でも最も古く原始的な方法です。遅くても有史以降から現在までの長い歴史を持ちます。これは自然界の植物の香りが人の心身を癒し、精神的生活に有効で不可欠なものあることを示しています。

幸福感と心への影響力は、自然が生み出した精油こそが持っているものです。なぜなら精油は植物の生命力そのものだからです。心地よい香りに触れることは、感情の起伏を和らげ、心の安定を保つために大いに役立ちます。

セルフケアは心と向き合う機会

お気に入りの箱を開けると、ほのかに漂ういい香り。色々な精油の入った小瓶が並んでいます。

今の自分にふさわしいのはどんな香りだろう、と精油を選ぶことは、自身の心とからだの状態をよく知るための時間です。自分自身に注意を向けて気分や体調を認識すると、モヤモヤの渦中のなかから一歩外側に出られます。感覚を研ぎ澄ませることで、ノイズとなる思考の巡りを一旦止めることができます。

精油の使い方で心のケアに効果的なのは、セルフマッサージです。好きな香りの精油を含むトリートメントオイルを作り、手足などをやさしく摩ります。香りによる心理的効果と、自身の肉体を手で愛でるというタッチングの効果が相乗的に働きます。

他にも、シンプルに香りを嗅ぐ、お風呂に入れる、手作りコスメをつくるなど、様々な精油の使い方があります。セルフケアは、自分のための時間をつくり、感覚を研ぎ澄ませて心の調律をする機会になります。暮らしに香りを散りばめながらアロマセラピーを日常的に楽しむことで、心の庭の手入れを自然と実践できるようになるのです。

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