赤紫蘇のシロップで夏を楽しむ

梅雨から晩夏の季節に飲みたいのが「しそジュース」です。しそジュースは赤紫蘇のシロップを水や炭酸水で割ったハーブドリンク。その鮮やかで透明なルビー色は一瞬で目を惹き、夏の暑さに疲れたからだを回復させ、再び気を巡らせます。自然界の美しい色を移した水には私たちをよみがえらせる力があるのです。

もくじ

ルビー色の示すもの

毎年、夏ならではのお楽しみの一つが赤紫蘇シロップづくりです。何が楽しいのかは言うまでもなく、その色合いでしょう。赤紫蘇を煮出したものは最初は紫色の深いワインレッド色。この色ももちろん綺麗なのですが、酸性のもの(レモン汁やお酢)と反応すると、途端に透明で鮮やかなルビー色になるのです。その瞬間を子どもと一緒に、ほら!と手品でも披露するかのように歓喜するのがなんとも楽しいのです。

家族に好評をもらえたら、初夏から晩夏にかけて何度か作ることになります。そのたびに台所が賑やかになります。そしてコップに注いだときの、なんとも見惚れるような美しい紅色を眺めると、暑さや気だるさがどこかへ流れていってしまうようです。

赤紫蘇はよみがえりのハーブ

赤紫蘇はその名の示す通り、私たちの生きる力の”よみがえり”を助けるハーブです。また、赤は血や循環を象徴する色。暑い季節特有のだるさの原因の一つである血液循環や、気の滞りによる疲労感を改善することと関係があるのかもしれません。

赤紫蘇(アカシソ)は紫色の葉で、食卓では薬味としておなじみの青紫蘇(アオジソ)の仲間です。赤紫蘇は「紫蘇葉(シソヨウ)」または「蘇葉(ソヨウ)」という名の生薬で、神秘湯や香蘇散など風邪や健胃のための漢方薬の原料となっています。

中国の古い文献によれば、気を巡らせ、心をのびのびとさせる作用があると記述されているようです。発汗や胃腸の働きを促す作用があり、咳や喘息にも良いと言われています。

薬草を乾燥させた生薬のうち、医薬品にならなかったものが食材の中には多くあります。食で体調を安定させることが、セルフケアの中でも最も理に適う健康法です。初夏から晩夏の時期のみ入手できる旬の赤紫蘇は、夏の養生にふさわしい食材であり健やかな暮らしに役立つハーブです。

赤紫蘇シロップの作り方

赤紫蘇シロップの楽しみ方はいくつかあります。水や炭酸水で割って飲むのはもちろん、ゼリーやシャーベットにもなります。「子どもには清涼飲料水をあまり積極的に飲ませたくない、でも水やお茶以外の飲み物で幾分ヘルシーなドリンクを飲ませたい」と考えるお母さんには特におすすめです。

赤紫蘇はスーパーマーケット、自然食品店、農産物の直売所、道の駅、オンラインショップなど、いろいろなところで入手できます。

【材料】
・赤紫蘇 200g(葉のみ)
・きび砂糖 150g
・はちみつ 100g
・レモン汁 2個分
・水 800ml

【作り方】
1 赤紫蘇の茎の部分を取り除き、葉をよく洗う
2 鍋に水を入れて沸かし、赤紫蘇を入れる
3 葉が水に浸るように菜箸などで揺らがせながら弱めの中火で3分ほど煮る
4 ザルで濾す(葉は冷めたのちに最後の1滴まで手でぎゅっと絞る)
6 煮汁を鍋に戻し入れ、きび砂糖とはちみつを加えよく混ぜ、ひと煮立ちしたら火を止める
5レモン汁を加え、よく混ぜる

*保存用のガラス瓶に入れて冷蔵庫で保存します。
*甘さは控えめ、レモン汁多めのレシピです。甘さはお好みで調整することをおすすめします。

飲み方

赤紫蘇シロップを水や炭酸水で割って「しそジュース」と称して飲みます。暑い日、ちょっと疲れたなという時、午後のひとときに。

赤紫蘇シロップは、赤紫蘇の摂取法として美味しく手軽な方法です。けれども赤紫蘇シロップのようなハーブシロップは、ハーブティーやハーブチンキに比べると手当てとしてはあまり日常的なものではありません。季節限定の特別なハーブレメディです。

シロップ剤はハーブを摂取しやすくする反面、糖分を多く摂ることにもなります。ハーブシロップは糖分の過剰な摂取による悪影響も考慮しつつ、一日に何杯も飲みすぎないようにしましょう。

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