日々の暮らしのなかでヘルスケア実践をこれから始めたい方にとって最もふさわしい方法が「ハーブティー」です。
ハーブティーとはハーブの有効成分を含んだ飲みものですが、単なる健康的な飲料にとどまりません。ハーブティーを飲むことは、すべての感覚を開き、自然治癒力を高めるきっかけになります。そして、心のゆとりのための”お茶の時間”としての効用もハーブティーの大きな魅力です。
これらを兼ねそなえた上に、手軽に始められるのがハーブティーです。
ハーブティーの特徴
シンプル、伝統的
ハーブの活用方法にはいつくか種類がありますが、なかでもハーブティーは最もシンプルです。ハーブティーはハーブの花、葉、根、果皮、種子などを材料として用います。それを水(熱湯)に浸したり煮出したりして有効成分を抽出し、飲用します。
ハーブは心とからだの状態に合ったものを選びます。数種類のハーブを組み合わせることもできるので、気分や目的に合わせたカスタマイズは無限大です。ハーブティーはシンプルであるがゆえに、応用の幅広さがあります。
ところで、ハーブティーの起源を辿ると古代医学にさかのぼります。医学の祖ヒポクラテス(BC460-370ごろ)が薬草の抽出液を処方したことに始まるといわれています。世紀を超えて受け継がれた伝統的な方法なのですね。
水の力
水は「流れ」の性質を持ちます。ハーブを水に浸して得られるハーブティーは体内に素早く吸収され、老廃物の排出を促し、血液の浄化を助けます。
そして、上質なハーブティーにはまるで澄みきった水が感情の淀みを清らかに流してくれるような力があります。
ハーブティーは、ハーブに含まれる有効成分のうち水に溶ける水溶性成分を抽出します。たとえば、ネトルのようなミネラルが豊富なハーブは、アルコールよりも水で抽出するのが最適です。
水溶性成分には、他にアルカロイド、水溶性ビタミン、フラボノイドなどがあり、抽出したものをお茶として摂取することができます。
感覚を開く
ハーブティーには花や葉など自然の色彩、柔らかで芳しい香りがあるのが大きな特徴です。
お茶を丁寧に淹れることから最後の一滴を飲み終わるまで、お湯を静かに注ぐ音を聴き、温かさを手で包み込み、そして心とからだに沁み渡るような味わいを感じます。このようにハーブティーはすべての感覚を研ぎ澄ます機会となります。
感覚を開き、心とからだに耳を傾けることは、自らの自然治癒力を呼び覚ますことにつながっています。
ハーブティーの効果
心とからだを整える
ハーブには、1種類につき多くの成分が含まれます。それらの成分は身体的、心理的に働きかけ、自然治癒力を強化し調整する作用があります。
抗酸化作用は多くのハーブに共通する働きです。細胞の酸化を抑え、老化を防ぐことに役立ちます。他にも、高ぶる感情を鎮める作用(鎮静)、痛みを和らげる作用(鎮痛)、免疫機能を整える作用(免疫賦活)、ホルモンを調整する作用など、ハーブにはさまざまな働きがあります。またハーブの種類によってはビタミン、ミネラルなど栄養素を補う方法の一つにもなります。
心とからだを調整するように働き、複数の成分が掛け合わされることでお互いの作用を高め合う相乗的な作用は、医薬品にはないメディカルハーブならではの効果です。
またハーブティーは口内炎や胃腸の炎症などの消化器系の不調に直接的に作用させることができます。
お茶が生きるセンスを高める
メディカルハーブ(ハーブ療法)として薬効を求めるハーブティーは、嗜好品としてのお茶類とは区別されるものです。けれども実際は曖昧なもので、健康を目的とするハーブティーにもお茶の時間としての効用があります。
それには2つの理由があります。私たち日本人には、世界に誇る文化である「茶道」をもとにしたお茶の文化が日常にあるから。もう一つは、ハーブティーは美味しく飲むことができるからです。
お茶を丁寧に淹れてゆっくりと飲むという行為は、身も心も一つにしていくこと。精神的生活を美しいと感じること。あっという間に過ぎてゆく日々を、潤いあるものにしていくためのひとときを持つことです。お茶は、言うなれば心身を整えるセルフヒーリングです。
時に落ち込み、悲しみ、苦しむのが生きているということ。一旦立ち止まり、気分を転じ、心を整えて再び歩すために飲むお茶は、美しく、美味しく、安らぎのあるものでなくてはなりません。ハーブティーはそんな風に生きる喜びをもたらすのにふさわしいお茶なのです。
ハーブティーを毎日の暮らしに
ハーブティーは、五感をやさしく刺激しながら、心とからだを整えるヘルスケア実践です。
何より、お茶として手軽に始められることが大きな利点です。まずは一日に飲むさまざまな飲料のうち、一杯をハーブティーに変えてみること。
慌ただしい日々こそお茶のためのほんの少しの時間をつくり、ハーブティーをゆっくり丁寧に淹れる・・。すると心とからだの心地よさをきっと感じることでしょう。