見えないからだ

今年はホリスティック医学について改めて体系的に学んでいます。ハーブを一つの療法として実践し学ぶには、人間や健康や生命についてなるべく多角的な視点から全体を知る必要があると私は考えています。これまでホリスティックヘルスの分野について様々な本を読んだり、話を聞きに行ったり、自らの実践から学んできました。けれども、興味本位で行き当たりばったりに探ってきた感じがあります。ゆえに、集めたはいいけれど散らばっているあれこれをつなぎ合わせ、一つの原理としてまとめていきたい。そう思ったことがホリスティック医学コースの受講に足を運ぶきっかけとなりました。

先日、開催されたテーマは「エネルギー医学」「量子生物学」「エソテリック・ヒーリング」です。ホリスティック医学の基本は、人間をbody(身体)mind(心)soul(魂)スピリットspirit(霊性)の観点からとらえることにあります。特にbodyは単なる物体としてではないという意味で、生命エネルギーを有する身体である「ソマ(soma)」と表現されます。この生命の巡る身体(私は普段「からだ」と言い表します)は視覚できる部分はほんの一部にすぎず、目には見えないエネルギー的な部分も含めた全体構造を持っています。これが「見えないからだ」です。エネルギー医学ではこのことを受け入れることが大前提であり、生命の仕組みを解き明かしていくにあたって量子物理学や量子生化学の世界へ入ることになります。

今回の学びの中で驚いたのは、心身が癒えること(healing)について「からだのどこで何が起こっているのか」、かなり学術的な研究が為されているということです。自分の無知さを思い知りました。でもだから面白いんです。生体内での情報交換は2つあり、化学的方法とエネルギー的方法です。特に後者のエネルギー的方法については従来の生化学的知識とは別の興味深い知見があります。細胞はタンパク質と水の状態によって半導体の性質を持ちます。つまり半導体の性質を持った細胞を通して電気的エネルギーが伝導されます。そう考えると、なぜ心の状態がからだの状態に影響するのか、なぜセラピストから放たれるエネルギーがクライアントに作用するのかを完全ではなくとも理解する可能性を手にすることができます。

もちろん生命の仕組みについて、科学的な論理だけで十分に説明することは難しいです。私たちは万物の創造について理解する言語を現時点では持っていないからです。そのため一見不思議だと感じるヒーリングの現象に対して抵抗感を持たれる方も多いかもしれません。それでも、現在私たちの手元にある量子生化学、量子生物学などの科学を使って具体的かつ学術的に解き明かし、医療に実用しようとするのがエネルギー医学に取り組む意義になります。

さらに、エソテリック・ヒーリング(秘教治療)についても学んだことは私にとって刺激となりました。秘教とは文字通り、秘密の教え。東洋人の私たちには密教と言えば馴染みやすいかもしれません。宇宙や生命の仕組みに関して、私の拙い言葉で誤解されるのを避けるため詳しくはここには書きません(書けません)。秘教は多くの科学者たちに影響を与えたそうです。ボーア、ハイゼンベルグ、ユング、アインシュタイン、エジソン・・。私個人的にはロバート・フルフォードも秘教から学んだと知ったことが大きな収穫。脳内のシナプスがバチっと音を立てたようにつながりました。フルフォード博士はオステオパシー医として著名で、私の尊敬するホリスティック医学の提唱者アンドリュー・ワイル博士が名医と呼んだ人物です。彼らに共通する理念のルーツを手繰り寄せたのです。たとえるならば、ある好きなミュージシャンが聴いていたミュージシャンを見つけ、さらにそのミュージシャンがどんな音楽から影響を受けたかを突き止め、似ているところが音楽的に分かるといったようなことです。

また病と魂の関係について、秘教で語られている内容とフラワーエッセンス療法の創始者エドワード・バッチ博士の哲学が一致していることを大変興味深く感じました。年代を見ると、秘教が情報公開され始めた時期にバッチ博士も生きています。バッチ博士の極わずかな著作の中では秘教について直接は書かれていませんが、きっと影響を受けたのではないかと私は感じています。全てはつながっているのです。

ところで、フラワーエッセンス療法は原理としては実はエネルギー医学に分類されます。魂やスピリットという言葉が好きな人にはたやすく受け入れられますが、そうでない人には斜に構えられる傾向が強いセラピーです。でもそのような人にこそ必要なものだったりします。フラワーエッセンスを求める人々がより入りやすい入り口を作っておくためにも、見えないからだについてエネルギー医学的な言語を自在に使えるように学びを深めていきたいと思うばかりです。

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