「7つの助け手」 エドワード・バッチ博士の物語⑤

「12の癒し手」 エドワード・バッチ博士の物語④のつづきです。

 患者の心の状態に寄り添った12のレメディを見出したのち、バッチは新たな壁に直面します。12のどのレメディにも当てはまらない人々がいたのです。彼らは長いあいだ病気を続けているうちに、それが自分の一部であるかのように慣れきってしまい、すっかり希望を失ってしまっていました。凝り固まった習慣や考え方から抜け出せず、本来の自分ではないことにさえ気づいていない状態でした。

 ところで、1930年代の当時は科学が目覚ましい進歩を遂げる一方で、目に見えない世界への関心も静かに広がっていた時代でした。神智学をはじめとする西洋の秘儀思想や東洋の秘教的な叡智、霊魂の存在や輪廻転生という世界観です。バッチは医師として研究を行いながらも、このような思想に深く通じていました。

 人間とは肉体に限定されるものではなく、本質的には不滅の魂そのものであるという信念が彼の医療の土台にありました。病とは、魂が今この人生で果たすべきことから一時的に離れてしまったサインであると捉えていたのです。だからこそ、レメディを選ぶことは単なる対症療法ではなく、魂の声に静かに耳を澄ませるための方法なのでした。

 バッチは12のレメディよりも一層深い心の部分に働きかけるレメディを探し求めました。新しく発見したゴース、ヘザー、オークは古代ケルト民族の文化と関わりがある木です。低木のゴースやヘザーは群生して景観を鮮やかに彩り、高木のオークはたくさんの花を咲かせます。ロックウォーターは泉の湧き水です。これらの4つのレメディは、本来の自分を見失い、何をしても駄目だと思い込んでいる人や失望を抱える人たちを助けました。
 
 さらにオリーブ、バイン、ワイルドオートを見つけました。オリーブやバインは聖書に何度も登場する木であり、バッチは神話や伝承で語られる人間の普遍的な心の原型に働きかける植物を選んだと考えられます。

 これらの新しい7つのレメディは重い病や不治とされていた病さえも回復に向かわせました。健康を取り戻すだけでなく、生きる喜びや人生への興味までも蘇らせることができたのです。

 こうしてバッチは12の性格類型に基づいた12 Healers(トゥエルブ・ヒーラーズ)に加えて、深層意識に関わる7 Helpers (セブン・ヘルパーズ)を完成させました。

【7 Helpers】
ゴース
ヘザー
オーク
ロックウォーター
オリーブ
バイン
ワイルドオート

 1934年、バッチは『12の癒し手と7つの助け手』という著作を発行しました。12種のレメディは病の兆しが現れ始めた頃に、7種は不調が長く続き心が停滞した状態を和らげると説きました。バッチにとって病名は重要ではなく、その人のいつもと違う気分を見つめ、自然由来のレメディで人生の目的を再び思い出せるよう人々の生命力の復活を支えたのです。

(つづく)


参考文献
『心を癒す花の療法 フラワー・セラピーの世界』 ノラ・ウィークス 著、林陽 訳 / 中央アート出版社
『The Medical Discoveries of EDWORD BACH PHYSICIAN』 NORA WEEKS / DANIEL COMPANY
『フラワーレメディの真髄を探るエドワード・バッチ著作集』 ジュリアン・バーナード編、谷口みよ子訳 / BABジャパン
『花と錬金術』 東昭史 / 東京堂出版

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