「病は心の不調和である」 エドワード・バッチ博士の物語③

「花の朝露に秘められた生命の記憶」 エドワード・バッチ博士の物語②のつづきです。 

 バッチは花の朝露を集め始めてまもなく、海岸沿いの植物を調べるために新たな旅に出ます。向かったのはイギリスのノーフォーク海岸にあるクローマーという小さな町。ここでレメディの研究と執筆に没頭しました。

 彼は植物だけでなく、あらゆる人々の様相にも目を向けました。海辺や町中を歩き回り、日常の些細な出来事に彼らがどんな反応するのか。楽しむ人、苛立つ人、不安がる人、諦める人…。彼は綿密に人々を観察し続けました。

 バッチが辿り着いたのは、「病は心の不調和の現れである」という確信です。病気は肉体的な原因から起こるのではなく、心の葛藤や恐れの気分から現れるということです。

 人間は本来、幸せを体験するために生まれてきました。直観と本能にためらうことなく従っていれば健康でいられるのです。ただそれに気づけば良いとバッチは説きました。直観は、本来の自然な状態で魂の望みに従順であるための手段です。それに干渉するのが恐れであり、魂と心のあいだに不調和が生じて身体に兆候として表現されるのです。

 バッチが目指したのは、それまでの医学にはない革新的な医学体系でした。患者の病ではなく、人格や感情を観る。症状を治めることではなく、本来の自己と地球上で人生を生きる自己とを一つにすることが真の治癒であると考えたのです。

 また、病そのものへの恐怖こそが回復を妨げる最大の壁になるとバッチは指摘しました。恐れは魂と心の不調和をさらに深め、身体を癒す力そのものを弱らせてしまう。だからこそ、必要なのは症状を抑えることではなく、心を本来の姿へと戻すこと。それさえ叶えば病は自然と消滅するのだと彼は確信していました。この考えは、「Heal Thyself(汝自身を癒せ)」というバッチの著作に結実していきます。

 1928年、バッチは清流のほとりに自生する黄色い小さな花ミムラスに出会います。そのレメディで患者の恐怖感を和らげ、健康と幸せな気持ちを回復して治癒に向かわせたという大きな成果をあげました。こうして、バッチはあらゆる感情ごとにフラワーレメディを見つけていきました。
(つづく)


参考文献
『心を癒す花の療法 フラワー・セラピーの世界』 ノラ・ウィークス 著、林陽 訳 / 中央アート出版社
『The Medical Discoveries of EDWORD BACH PHYSICIAN』 NORA WEEKS / DANIEL COMPANY
『フラワーレメディの真髄を探るエドワード・バッチ著作集』 ジュリアン・バーナード編、谷口みよ子訳 / BABジャパン

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